【1代目ネゥト】76~80話

neuto76【第76話】
3日。今日からDリーグの試合が始まる。私はアルヴィンの応援にコークショルグに向かった。
アルヴィンが試合してるのを見るのは初めてだわv
あ、でも応援自体初めてか。去年は応援したいと思える程の知り合いもいなかったし。
アルヴィンってどんな試合するんだろう?よく浜を走ってる姿見たけど、結構俊敏な動きとかするのかしら?
………そういえばアルヴィンは「ジマの力」の持ち主なのよね。そう考えるとじっくりと攻めていくのかしら?
「赤コーナーアルヴィン・リード選手!!」
審判の声とともに、真剣な面持ちのアルヴィンが入場してきた。
「アルヴィン!!頑張ってーーー!!!」
そして鐘の音が鳴り、試合開始!!
アルヴィンは積極的に手を出すわけではなく、ガードしつつ、相手のスキを見つけて技を繰り出していく。
見ててちょっとヤキモキしちゃうよ!!!
もっと、こう!!!バシバシ~~!!!っと手を出して行けばいいのに!!!
そんなこと思ったりもしたけど、アルヴィンは着実にポイントを稼いで勝利した。
ま、終わりよければ全て良し?ってことで。


neuto77【第77話】
4日。今日もアルヴィンは試合。
相変わらず、ガードしつつの攻撃にはがゆい想いで応援した。
相手の人は上手く体術を使ってアルヴィンの魔術ガードを破ってきた。
そうなると一転。あっという間に相手にポイントを許し、アルヴィンは惨敗してしまった。
「もーーアルヴィン!!あれじゃダメよ~~!!もっと積極的に攻撃しかけていかないと!!!」
「うん……まあそうなんだけどね。」
「何よ!!ハッキリしないわね~」
アルヴィンは一つため息をついて。
「……やっぱり、相手が痛そうにしてるの、見ていられなくて……勝つことより、そっちの方が気になってしまうんだ。特に、今日は年配の女性相手だったし……」
「……もう、アルヴィンってば……」
そういう優しいところ、すごく好きだなって思うけどさ……
「……ねぇ、明日デートしよっか?」
「うん!!いいよ。大通り南で待ち合わせだね。」
アルヴィンの呑気な顔見てたら、なんだか毒気抜かれちゃったから……
こうして腕くんで歩けることに、ふと幸せに感じたから……今日は許してあげる。


neuto78【第78話】
やっぱり、ちょっとは考え改めた方が良いんじゃないかと思うんだけどな……;
あれから、アルヴィンは全敗。来年は外リーグになってしまうことが確定した。
それでも呑気に…
「まあ、仕方ないよ。僕には武術は向かないってことなんだろう。」
なんて言うしまつ。
「アルヴィンが良くても私がよくなーーい!!!もう、すっごく悔しいよ!!!もう少し積極的に手を出してれば絶対勝てた試合だったのに!!!」
そうだよ!!あと一発決まれば……!!あの試合にも勝ててもCリーグに行くのは無理かもしれないけど、Dリーグに残るくらい出来たかもしれないのに……
「まあまあ、落ち着いて。折角の美人が台無しになる。」
「うっ!!!そっっそんなことで、ご、誤摩化されないんだからっ!!もう!!///」
「そうだね。ネゥトはこんな言葉じゃ誤摩化されないよね(満面の笑み)」
「…………!!!」
なんか、ものすごく負けた気がするんですけど!!!
あ~~~もう!!!この憂さは自分の試合で晴らしてやるーーー!!!


neuto79【第79話】
9日。とうとう来たわよ!!私の初試合の日が!!!
朝は早くからコークショルグに向かい、一人静かな闘技場で精神統一をはかっていた。
やがて時間になり、待合室へ。名前を呼ばれて前に進む。
試合の作戦は前々から決めていたの。素早い動きが得意な私は、大技を繰り出すより軽い技(エアスラッシュ)で相手の動きを封じて魔術で防御する。訓練も頑張ったし、絶対勝ちたい!!!
戦い慣れてそうな相手を見ると怯みそうになるけど……でも……!!
ふと応援席から飛ぶ声援に聞き慣れた心地よい声を感じた。
アルヴィンが見に来てくれてる。
その声があたしの心に迷いを無くした。
開始の合図とともにエアスラッシュを繰り出す。
(相手に攻撃する隙なんて与えてなるものか!!!)
不思議と体が軽く、次々に技が決まる。
時折体を痛みが走ったけど、気にせず攻撃を続け、気が付くと審判の声で試合は終了した。
「KO!!ネゥト選手の勝利です!!」
「きゃ~~~vvやったぁ♪」
初試合で初勝利&KOだなんて上出来な結果よね!!
応援席のアルヴィンにも手を振って、上機嫌のまま闘技場を後にした。


neuto80【第80話】
「どうよ、見た?私の勇姿を!!」
「ちゃんと見てたよ。ネゥト、すごく格好良かったよ。」
「うふふ~んvもっと褒めて褒めてv」
「そうだな……うん、エアスラッシュを繰り出すネゥト、猫パンチしてるみたいだった。」
「ちょっ何それ!?それ褒めてるの?」
「クスッ……褒めてるんだよ……ほら、手元が見えないくらい鋭い動きだったってことだね、うん。」
「……バカにされてるような気がする……ま、いいけど~」
試合後、その興奮から仕事に集中出来なかった私は、家に帰りお風呂に入って……
ほどなくして、仕事を終えたアルヴィンが家を訪ねてきたので、二人でお茶をしていた。
「やっと……明日だね。」
「え?……明日?………!!ああっ!!明日結婚式じゃん!!!」
「……忘れてたの?あんなに早くこいって言ってたのに……」
「いや~~んv今日は試合のことで一杯一杯だったから~~vもう!!すごく嬉しいよ♪」
「……本当かな…」
「本当だよ!!!やっと寂しい一人暮らしからおさらばできるし!!!アルヴィンともず~~~っと一緒にいられるようになるし……ね?夜だって帰らなくていいんだよ?」
「…………っっ!!…///…な、何言ってるんだよ!!!……まったく……僕もとんでもないのに引っかかっちゃったものだよな……」
「とんでもないので悪かったわね~~だ!!!フン!!」
アルヴィンはクスリと笑って、そっと私の頭を撫でてから立ち上がった。
「……もう帰るよ。明日遅刻しないようにね。」
「え!?もう?もう少しいてよ~!!」
「家族との挨拶や荷造りしなくちゃいけないし。明日までの我慢だね、お互い。」
「…………わかった。明日ね。」
明日からアルヴィンとの生活が始まる。
これからのことを考えると、嬉しさと、緊張と、期待と不安が入り交じって胸が一杯になる。
今夜は眠れそうにないな……

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