【1代目ネゥト】最終話

neuto81

10日。今日は待ちに待った私とアルヴィンの結婚式。
今日ばかりは遅刻出来ないし、いつもより1時間早く起きて身支度を整え神殿に向かったの。
それなのに、やっぱり既にアルヴィンは神殿に来ていた。しかも誰よりも早く。
きっと、一生かなわないんだろうな……なんて。ふと思った。
神殿に入ってきた私に気がつくと、フッと柔らかな微笑みをくれて。私もそれに答えるように微笑み返した。
そのまま言葉は交わさず、お互い衣装に着替える為に奥へと向かった。
『それでは、これからアルヴィン・リードとネゥト・コターマの結婚式を行う。新郎、新婦前へ…』
その声とともに一歩踏み出すと、そこには真っ白なタキシードに身を包んだアルヴィンが手を差し出していた。
一瞬、目が眩むような感覚がして足を止めると、アルヴィンがゆっくりとこっちに向かい、私を導いてくれた。
その手を取り、顔を見つめると小さく「綺麗だよ。」と囁いた。
「アルヴィンも…」
すごく素敵よ……って言いたかったのに、胸がいっぱいになって声にならず、唇だけがそれを伝えようと動いていた。
目頭が熱くなるのを感じて顔を歪ませると、アルヴィンがさっきよりも強く手を握って「行こう」と祭壇へ向かった。
『どんなにつらくても 二人で助け合って 幸せな家庭を築くことを誓います。』
私は「ネゥト・リード」と名乗ることを決めた。
拍手に包まれながら新居へ向かう途中、客席にゴタの姿が見えた。あんな別れ方をしたのに……拍手をくれる姿に少し胸が痛んだ。
あなたと出会って、短い間だけど恋人になって過ごしたこと。今では無駄ではなかったと思う。それがなかったら、きっと今の私、そしてアルヴィンとの関係もなかったんじゃないかと思う……
『ありがとう』の気持ちを込めて、精一杯の笑顔を贈った。
「結婚した途端もう不倫?」
驚いて振り返るとちょっと拗ねた顔のアルヴィンが私を見下ろしていた。
「もう!!そんなんじゃないってば!!アルヴィンのヤキモチやき!!」
「どうせ僕はヤキモチやきですよ……じゃあ僕も女の子たちに愛想振りまいておこう…」
「ちょっ…ダメだってば!!!!」
……何はともあれ、私たちは今日から夫婦なのよね♪
帰る場所も一緒のお家。
これから……ずっとずっと一緒にいられるんだよね……v

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